下石町、やきものの歴史

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このサイトは、郷土歴史研究家、桃井勝氏の著述他工組出版物の概要をまとめたページです。

いずれの事業や展示も桃井先生他、下石町の皆さまのご尽力により開催、発行されたものです。

寿司湯呑展

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鮨(寿司)湯呑茶碗展(平成19年4月15日開催~7月29日

1.鮨のはじまり

今日食べている鮨(すし)は、飯に酢を加え、魚介類をとりあわせて作る鮨を「いまずし」 「はやずし」と呼びます。今日のように巻き鮨、にぎり鮨などを主にした食物になったのは江戸初期と言われています。
 江戸以前は、魚介類に塩押し自然発酵させたもので鮨は魚介類の保存のために長く漬け込むものをさしていました。
これは熟鮨(なれずし)と呼んでいました。塾鮨は飛騨地方では現在も作られています。(鮨はすしの意味を表していますが寿司は後に音だけ似せて使うようになった文字です)

2.鮨湯呑茶碗のはじまり

関西から江戸に鮨が伝わったのは、延宝年間(1673~1681)と言われています。上方(関西)鮨は、箱鮨(押し鮨)が主でしたが、江戸鮨は今日寿司屋に見られるにぎり鮨が主でした。
 江戸前のにぎり鮨に「すし屋華屋与兵衛」が文政年間(1818~1830)に修得していた茶道をすし屋で生かしたいと考えました。風味のよい茶を特に選んで鮨とともに屋台で客にすすめました。江戸の人々の興味と合い、人気を呼んで、すし屋では鮨とお茶が一般的になっていき、すし屋特有な茶碗が出来ていきました。これが、すし屋の茶湯呑の初現で、鮨湯呑のはじまりです。

3.下石の鮨湯呑茶碗  
 下石の江戸時代のやきものの記録には湯呑はありませんが、文久3年(1893)煎茶碗奈良茶碗急須、徳利、神酒徳利も湯呑茶碗など、信州に出荷と鶴里町史資料にありますので、下石で焼成していたようです。
 明治33年(1900)の9月、「荷造賃金改正早見一覧表」の下石の頃に大湯呑、中湯呑、小湯呑、孫湯呑が記載されています。明治期に各種の湯呑が生産されるようになったこと、湯呑は磁器製になりました。しかし鮨湯呑の名称はありませんでした。「広辞苑」には「湯呑は湯呑茶碗の略で湯呑を飲むに用いる小形の茶碗」とありました。大湯呑などが、すし屋さんで使用され、鮨湯呑と呼ばれるようになるのは大正以降で、現在見られる鮨湯呑は、昭和以降に生産されたものが多いです。
 昭和3年(1928)の下石の陶磁器生産額は、内地向831.040円、外国向23.700円、計855.741円で内訳は次の通りでした。
 
内地向陶磁器生産額

       生産額   内地向生産額全体に対する割合   内外向生産額合計に対する割合
徳利     365.730円        42.73%           44.0%

湯呑      61.200円        7.15%            7.36%

汁次      36.900円        4.22%            4.44%

仏器      30.800円        3.59%            3.70%

急須      30.100円        3.51%            3.62%

花瓶       1.300円        2.48%            2.56%

その他に柱掛、香炉、丼、皿、輪立、掛花、箸立、茶器、神器、ソバツボ、味噌壷、便器、肉皿、コーヒー碗皿、スープ皿、コップ、洋皿、卵差と、多器種が生産されていましたが、徳利について湯呑が下石の特産となっていました。
4.鮨湯呑茶碗の特徴

1.湯呑にはいくつかの種類がありますが、鮨湯呑は、磁器製で大きく器種が厚い湯呑です。

2.器形は円筒形で深い茶碗で、湯量を多く入れることができます。

3.文様はさまざまで、名入寿司湯呑、寿司湯呑に大別されています。さらに形状、絵文字、釉調により分類されています。

4.寿司湯呑は寿司屋で使われて営業用の湯呑です。

5.器形がよくにている長湯呑は、寿司湯呑より器高が低く、器厚が少なくなっています。夫婦茶碗、組茶碗など主に個人が専用に湯茶を飲むのが主な用途です。
田山花袋「余念なく酒を湯呑茶碗仰ぎ始めた」

6.湯呑の使途によって名付けられた愛称の一つで、生産者は商品名としています。

もっと拡大してご覧になる場合はコチラ
鮨湯呑展

寿司湯呑の特徴、観点

  • 磁器製が多い。吸水性がなく汚れがつきにくく洗いやすい。内部は白で清潔で、お茶の色が美しい。
  • 湯呑は厚みが大きく、筒型が多い。手で湯呑を持つとき熱くない。ほどよい温もりで内のお茶が冷めにくい。
  • 湯呑の重さのこだわりが強い。お茶を入れて手でもった時の重さの感覚が大事にされる。
  • 湯呑を手で持つ重さと器に触れる感触を大切に、名入り寿司に関する文様がつけられる。
  • 寿司屋の宣伝であり、寿司に関する見聞を広められる。
  • 湯呑は大きく重いことから、持ちやすいすべり落ちないよう外面に工夫が見られる。
  • 眺めて、触れて、味わって、食べる人の五感を通して寿司を味わうことを支えている


  • 以下、read moreで寿司湯呑の写真がご覧いただけます。


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